きょうのできごと

見ること、感じること、思うこと。ふつうの毎日を毎日書く、ただ書く。メモを兼ねた日々の雑記帳。

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コバシ

1999年、フリーペーパー ジャメヴュモンドを創刊。
以来、6年間に渡り、不定期ながらフリーペーパーを発行。

とにかく紙が好き、モノ作りが好き。
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2008年09月24日(水)

船、山にのぼる [映画の時間]

画像(240x320)・拡大画像(480x640)

「ダムの底に沈む木を使って船を作る。森を山の上に引越しさせる」。

広島は「灰塚ダム」を舞台に、まるで「ノアの箱舟」を彷彿とさせるPHスタジオによるアートプロジェクトを、現実に成し遂げるまでの12年間の記録としてまとめたドキュメンタリー映画。

「ああ、こんなことが本当にできるのだな」と思う、すごい話だった。

数千本のヒノキの木を使って作るイカダのような船を、ダムの貯水実験のときに浮上させて、山の中腹にある平地に着地させる計画。灰塚ダムの着工後に噴出した脱ダム運動などの影響でなかなか進まないダム建設を待ちながらも、2006年についに船は山に移動する。

おそらく、「そんなに計画どおりうまくいくのか?」
と誰もが半信半疑だったに違いない。でも彼らは成し遂げた。それも、長い年月をかけて(正確には辛抱強く待ちながら)、途中で放ったりせずに、最後にはちゃんと船は山に着地するのだ。

なんというエネルギーなのだろう、と感心した。同時にこんな壮大なものづくりプロジェクトを体験できるのなんて実にうらやましいな、とも思った。みんなが一生に一度もできる体験ではない。僕もこんなプロジェクトにいつか立ち会ってみたいと願う。


もう1つ、印象的だったのは、地元の人が集会で言った「あんたたちの発想は、俺たちと一緒なんだよな。“森を引越しさせよう”というのは。ずっと昔から自然と一緒に暮らしている俺たちと」という趣旨の言葉だ。
この手のプロジェクトで地元の人の共感を得るのは難しいことだと思う。ともすれば、反発を招きかねない中で、「俺たちと一緒」というのは最高にうれしい言葉であり、評価ではないか。


じゃあ、プロジェクトではなく映画としてみたらどうか? というとたぶん意見は分かれる。本田監督はとにかく「クールに撮ること」に徹しているから。

プロジェクトの内側ではなく外側から、第三者的に、ひたすら淡々と撮る。船が移動する定点観測的な映像なんてまさにそう。それは最初から最後まで一環していて、演出的な面でのフィナーレに向かっての盛り上がりもない。最後を締めるメンバーへのインタビューもない。ヒューマンドキュメンタリーではないし、記録映画ともちょっと違うつくりだ。

それがこの映画の映画としての特徴であり、たぶんよさでもあると思うのだけど、だとしても、この映画だけでは分からないことがあまりにも多い。せっかくなら、参加している人たちや周囲の人たちが何を考え、何を想ってこの船を築き上げたのか。
そこに迫ったヒューマンな映像も、この映画とは別に観てみたいと思うのだ。
それこそ、NHKあたりでやってくれないだろうか。

Posted by コバシ at 23時30分

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