2007年04月16日(月)
エコノミカルパレス(角田光代) [こんな本読んでみた]
角田光代の中では少し古めの小説「エコノミカル・パレス」。
「魂のない仕事はしたくない」とのたまう無職の彼氏と同棲する
34歳のフリーター=主人公の話。
「フリーター」「30代女性」「旅」「同棲」「生活感」……
そして何より、執拗なまでに読み手にも伝わってくる、主人公のどうしようもない「いらいら」「不快感」。
そんな要素がすべて盛り込まれた「角田光代らしい」小説だった。
紹介文には「『フリーター文学』とも呼ばれた筆者の転換点」とあるけど、
むしろいまだったら「ニート文学」といってもいいかもしれない。
生きる目的も夢も目標もみつからず、
なんとなく現状を維持するためにその日暮らし。
それでいいと思っているわけではないにせよ、
どうにかしようと具体的に思っているわけでもないし、
もちろん行動しているわけはない。
今、こういう人は若者には本当に多いと思う。
それは(一応若者のつもりの)自分が周りを見ていても感じることで、
だからとってもリアリティがある。
生々しく、痛々しく、せつなく、さびしく。
これから世の中がどう変わるのか分からないけれど、
もし、10年後、30年後が今とはまたちがった時代になっているとしたら、
「あの頃の若者はこうだった」なんて思い起こすことができる
今をあらわす小説になると思う。
Posted by コバシ at 00時00分
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エコノミカル・パレス<角田光代>−(本:2007年133冊目)−
エコノミカル・パレス 出版社: 講談社 (2002/10) ISBN-10: 4062114194 評価:69点 同棲している34歳男女。男は失業保険で食いつなごうとし、まともに仕事を探すどころかバイトさえもやろうとしない。 女は雑文を書き散らかすことと、バイトでなんとか家賃を稼いでい