第1回 ハリウッドのナンバーワン

 今世紀最初で最悪の大事件となった、9月11日の全米同時テロ事件。WTC崩壊という信じられない出来事に、全世界がパニックに陥った。 米国でこのニュースが放送された時、愛国心あふれる多くのアメリカ人が、胃腸を通って口から膀胱が飛び出すほど驚き、自分の頭がおかしくなったのではないかと疑ったに違いない。あまりのショックに、靴を食べてしまったアメリカ人も少なくないだろう。だって、世界一の軍事力を誇り、世界のどの国よりも強く、すべてにおいてナンバーワンだと信じていた自国が、いとも簡単に簡単に攻撃を受け、経済は混乱し、交通機関に大ダメージを受け、全国民を恐怖に震えさせられたんだから…。しかも、彼らからしてみればミジンコの群れの様な、テログループによって…。第二次世界大戦や、湾岸戦争の時でさえ、アメリカ本土は攻撃を受けなかったのにね。 まさに、夢にも思わなかったという表現がぴったりであろう。
 ハリウッド映画界も大きな影響を受けたうちの1つだ。近日、公開予定されていた戦争やスパイなど派手なアクションシーンが含まれる映画が、全て延期された。 その映画たちはその後どうなったと思いますか? 億単位の莫大な資金をかけて、せっかく撮った派手なアクションシーンは、最新の技術を使って地味なものへと修正され、何ヶ月か遅れで公開されたんです。 これを聞いて、僕はひどく呆れました。 修正された理由は、事件で家族や友人を亡くした人たちを、なるべく刺激しないため。それについては一理あると思う。がしかし、中身は"アル○ゲドン"や"プライベート・ラ○アン"のような、「アメリカが世界を守る」「アメリカ ナンバーワン!」といった典型的なハリウッド映画。 本質は何も変わっていないじゃないか!「なぜ、あのようなテロ事件が起こったのか」「アメリカは他の国にどう思われているのか」というのをテーマにした映画が、今後ハリウッドの有名スタジオで生まれるとは思わない。むしろその逆でアメリカがヒーローで、悪い国をやっつける。それを強調した映画が21世紀のハリウッドから続々誕生するだろう。 そんなくだらないヒーローもの映画に 何百億のお金をつぎ込むくらいなら、もっと別の使い道を考えた方がいいと思うのだが…例えば人口問題が深刻な発展途上国に、教育施設を提供するとかさ、そっちの方がよっぽど世界平和に貢献しているとは思いませんか?

 アメリカはあの事件の後、今までの態度をこれっぽちも反省する事なく、ますます愛国心に燃えている。世界からテロを撲滅しよう!なんて、正義の旗をかかげ先頭を切って間違った道を突っ走っているブッシュさん。テロ撲滅ったって…つまりは人殺し。やっている事はテログループとなんら変わりないんだよね。 それを支持する多くの国民。"やられたら、やり返せ!"って…小学生がケンカで相手にミサイル撃つ話なんて聞いたことがない。ナンバーワンの自信があるなら、もうちょっと冷静になろうよ。
そんな、お子様が ボタン1つで全世界を消滅させてしまうような恐ろしい核兵器を持っていると思うと、そしてそのボタンをお子様の親玉が握っていると思うと…お、恐ろしい。はやく、世界に"本当の平和"が来ることを願うばかりです。

* テロ事件で犠牲となった方々へ、心よりご冥福を祈ります。

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Last Update : 2003/01/29