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独特の温湿度と、それを伝えるための表現力が、人を惹きつける。



 カッコいい日本映画を撮れる監督。美しい映像世界を見せてくれる監督。そう言ってしまえばおしまいだけど、岩井映画からは、それ以上に観るものを映画の中に誘い込むものが確かにある。

 人間がもつ五つの感覚 プラス よく言われる第六感。その第六感とは「温度と湿度を感じる感覚」だと個人的にそう思っている。きっと理論的には温度、湿度を感じるのは皮膚だから、それは触覚の一部だ、ということになるのだと思うが、人間は触れずに温度や湿度を感じる感覚を持っていると、胸をはって学会に発表できる。例えば写真を見たとき、それが夏に撮られたものなのか、冬に撮られたものなのか、なんとな〜く分かるし、暑〜い感じ、涼しい感じ、さらにパサパサした感じ、じめっとした感じが音楽や色、詩などから理屈ナシに感じるものである。

そう、岩井映画はどの作品からも確かに温度を感じる。それも僕らの普段の生活では決して味わうことの出来ない、特殊な温度と湿度である。岩井映画が人を惹きつけるのは、彼のもつ唯一無二の独特の温湿度と、それを伝える為の表現力なのではないだろうか。 いまいちど、岩井ワールドへのちょっとした旅を楽しんでみてはいかがでしょう。 ☆りょおた




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